話しつくせない旅、東御市。

東御市×丸⼭智⼰

⻑野県東御市
⾃然と⽂化、農、そして⾷。
さまざまな分野で注⽬を集める東御市には、
こだわりを持ってそれらを守り、育み続ける⼈がいます。

東御市ふるさとPR⼤使の俳優・丸⼭智⼰さんとともに、
彼らのものづくりと暮らしの⼀端から
「東御」という地域の魅⼒を辿ります。

  • ワイナリーCave Hatano波田野 信孝
  • チーズ工房Atelier de fromage塩川 和史
  • 農園ゲストハウス Omiyado宮下 広将
  • ガラス工房Glass Studio Daidai寺西 将樹
  • 西洋野菜Agronaume宮野 雄介
  • Umeno Memorial Museum of Art他にはない美術館

生き方に会う。

カーヴ ハタノ カーヴ ハタノ カーヴ ハタノ

cave hatanoカーヴ ハタノ

料理からワインの道へ
よさを追求する仲間がいるまち

「最高のテロワールを引き出すワインづくり」をコンセプトに、2017年からワイン造りに取り組む「cave hatano」。
醸造家の波田野信孝はたののぶたかさんは、就職のため、2006年に埼玉県から移住してきました。食や農に興味があったこともあり、東御市初のワイナリーであるヴィラデストワイナリーでワイン造りに携わり、導かれるように醸造家の道を進んできました。大切にしているのは、土地にあう品種を見極め、余計なものを加えずに「いいもの」をつくること。ブドウの仕込みや収穫、搾りは気候や状態に合わせ、その日、その場で決めていきます。
さまざまな醸造家が集い、盛り上がりを見せる東御市は、支え合える仲間がいる最高の環境。澄み渡る青空とカラッと乾いた空気が、上質なワインを育てます。

アグロノーム アグロノーム アグロノーム

Agronaumeアグロノーム

風土も運も味方につける
宝物に囲まれて育てる西洋野菜

有機肥料を用い、無農薬で栽培されるカラフルな野菜の数々。宮野雄介みやのゆうすけさんが代表を務めるアグロノームは、ビーツやサラダ大根などの西洋野菜を中心に手掛ける農園です。
出荷先のレストランから「ドレッシングが野菜の味に負けてしまう」と、ありがたい苦情が入るほど濃い野菜を生み出すのは、野菜に注ぐ宮野さんの愛情と寒暖差の大きい東御市の気候ならでは。寒さで凍らないよう、野菜のなかで糖が生成され、ぎゅっと甘みが濃縮されるといいます。
宮野さんの出身は神奈川県ですが、両親に連れられ、小さい頃から頻繁に長野県を訪れていました。今は野菜づくりの傍ら、米やワイン造り、狩猟や薪割り、山菜採りなど、季節ごとに里山の暮らしを楽しんでいます。

おみやど おみやど おみやど

Omiyadoおみやど

東御の空は朝が良い
古民家で営む農と宿のある暮らし

養蚕住宅だったという築100年を超える古民家。
縁側と畑が気に入ってこの場所で2017年に宿を開いたという宮下広将みやしたひろゆきさんは、2016年に神奈川県から長野県に引っ越してきました。
自身が目指しているのは、半農半X(エックス)という農のある暮らし。
自分たちで消費する分の野菜をつくりながら、大豆や麦を育てて味噌や醤油を仕込みます。
現在は宿業と畑仕事に勤しみながら、長野県と東御市の移住アドバイザーも務めています。
心がけているのは、滞在する人と付かず離れずのお互い心地よい適度な距離感を保つこと。
都会と田舎、それぞれの良さを知る宮下さん。つくりたいのは、その人の暮らしのベクトルが田舎に向いたときの第一歩、踏み台になるような場所だと話してくれました。

ガラス工房 橙 ガラス工房 橙 ガラス工房 橙

Glass Studio Daidaiガラス工房 橙

まちに馴染むレトロな色合い
物語を紡ぎ続けるガラス工房

ガラスを溶かす坩堝るつぼが橙色をしているところから名の付いた「ガラス工房 橙」。
営んでいるのは、上田市出身の寺西将樹てらにしまさきさんと奥様の真紀子まきこさんです。
関東から地元に戻るタイミングで場所を探し、歴史ある街並みが残る海野宿に工房を開いたのは1999年のこと。長屋門だった建物を、お二人がリノベーションしました。
ガラスという素材を使い、東御市らしい作品を作りたくて生まれたという「くるみガラス」は、ほんのり緑でレトロな色が特徴です。
意識しているのは、自分の思う事柄がきちんと表現できているかどうか。
器の使い心地を体感してほしいと始めたカフェでは、旬の果物や地元の素材を使ったスイーツやドリンク、夏にはかき氷が楽しめます。

梅野記念絵画館・ふれあい館 梅野記念絵画館・ふれあい館 梅野記念絵画館・ふれあい館

Umeno Memorial Museum of Art梅野記念絵画館・ふれあい館

緑と水が調和する
豊かな感受性と思想に触れる美術館

初代館長・梅野隆うめのたかし氏が、ひと目で心を決めたという、木立に囲まれた明神池のほとり。
雄大な浅間山を望む美術館には、28歳でこの世を去った天才画家「青木繁あおきしげる」をはじめ、特異な業績を上げながらも忘却されつつある作家、不遇な生涯を終えた作家たちの作品が集められ、展示されています。
明治35年、青木繁が20歳のときに、仲間とともに群馬県の妙義から長野県の東信地域を写生旅行した記録と共に多くのデッサンが残されています。
その旅で東御市を代表する画家・丸山晩霞まるやまばんかや小諸義塾の島崎藤村しまざきとうそんを訪ねた際に、この地で触れた美術論、人生論はしっかり心に刻み込まれたものと考えられています。

Atelier de Fromageアトリエ・ド・フロマージュ

創業40年のチーズ工房で
世界の味を次世代へ繋ぐ

世界中からさまざまなチーズが集まるチーズコンクール「World Cheese Awards」。アトリエ・ド・フロマージュのブルーチーズ「翡翠ひすい」は、2021年にSUPER GOLDを受賞し、世界ベスト16に選出されました。
つくっているのは、チーズ製造の責任者であり、チーズの中でも青カビが大好きな塩川和史しおがわかずしさん。
構想から8年を経て、日本人にも食べやすいと評判を集めた「ブルーチーズ」から、力強く刺激的ながら、スッと口に溶ける「翡翠」を生み出しました。
チーズの美味しさをつくるのは、東御市の冷涼で乾燥している気候と軟水でのびのび育つ牛の乳質、そして職人の腕。
海外の真似事ではなく、日本独自の発酵文化を大切に、美味しい国産チーズのある暮らしを醸造しています。

焚火対談

生き方で選んだ場所が、
東御でした

森のなか、静かに深まる夜の時間。
昼間それぞれの場所でお会いした御三方に
声をかけ、焚き火を囲む対談が実現しました。
違う場所で生まれ育ちながら、理想の暮らしやものづくりを追い求めた結果、
選択したのがこの場所だという皆さん。
多様な生き方がある今、改めて「なぜ東御市なのか」を問いかけます。

  • 文化は承継じゃなく、まだまだ僕らが整備中
    カーヴ ハタノ
    波田野 信孝はたののぶたかさん
  • 自分を大事に挑戦できる環境がありました
    おみやど
    宮下 広将みやしたひろゆきさん
  • 「地元だから」以上に落ち着く町と思います
    アトリエ・ド・フロマージュ
    塩川 和史しおがわかずしさん
  • 今は素直に、東御暮らしが羨ましいです
    俳優
    丸山 智己まるやまともみさん
丸山さん
東京に出て、気づけば20年以上が経ちました。2021年から東御市のPR大使をやらせてもらうようになり、いつの間にか変わっている町を見て驚くことばかり。今日はいろいろと、皆さんの東御市を教えてください。
宮下さん
もともと父親が上田市出身なので、帰省したりスキーに来たり、いいところだっていうのは心にありましたね。個人旅行で今まで北海道や沖縄県にも出かけましたが、やっぱりホームタウンは長野県といった印象があります。まず小諸市に引っ越して、今の場所に出会って東御市に落ち着きました。
塩川さん
僕は生まれが東御市なので、まさにホームタウンです。一度は仕事で県外に出て、戻ってきて28歳からチーズをつくっています。特別な魅力はわからないけれど、「適度にない」っていうのはひとつの良さだと思います。自然を感じながら、時間がゆったり流れているというか。
波田野さん
うちは子どもが3人いますが、彼らにとってこの景色も空気も当たり前なんですよ。将来外に出たとしても、その「当たり前」が残っていたら、きっと好きでいてくれると思うんですよね。離れてしまうのは悲しいので、このまま柔らかくあってほしいです。
宮下さん
「もとからのイメージが良くて、さらに10年経って一層の良さを感じられる」くらいがいいのかも。ポツポツと暮らしにいいものが揃って、飲食店やパン屋さん、買い物ができる場所があって。それが全国規模の店舗じゃなくて、顔の見える商店だったら嬉しいです。
波田野さん
僕の生まれ育ちは埼玉県ですが、両親は福島県出身で、いわゆる本当の田舎育ちなんですよ。僕が東御市に住んでからは、逆に両親がこっちに「帰省」してくるようになりました。そういうのを見ていると、田んぼがあって山があって、心の帰る故郷みたいな空気があるように思います。
丸山さん
ものづくりやお仕事の観点からはどうですか、東御市って。
塩川さん
チーズをつくるのに大切なのは、やっぱり水じゃないかっていう話をしています。水を飲んで草を食べて育った牛が乳を出すから、飲み水や雨の質の良さが美味しさに直結しているんです。
波田野さん
ワインも水の影響は大きいですね。もとを辿れば、どれも同じ水からできているので、やっぱり地元の食材同士が合うんですよ。あとは全体的に標高が高いので、菌や微生物の働きが緩やかで、綺麗な仕上がりになるのも特徴です。水質と標高差で、地域の特色が出せますね。
塩川さん
麦や大豆、米が無理なく育ってくれるので、うちも醤油や味噌を仕込んでいます。近所の人にお裾分けで持っていくと、お年寄りの方なんかは「懐かしい」って言ってくれたりして。
丸山さん
昔は家で造っていましたもんね。経済成長で手放してしまったものがここにきてまた戻ってきた感じなのか。
宮下さん
古い家は機密性がないので、常に家自体が呼吸しているような状態なんですよね。自分で住んでみて、いろんなものと共生する感覚が強くなった気がします。
波田野さん
生き物や野菜を相手にしていて思うのは、みんな滞りを許さないってことですね。滞ったら腐って分解して生まれ変わるから、水でさえも流れていないと腐るっていうのがおもしろいです。家も同じですよね。
塩川さん
それ、地域も同じかもしれないですね。東御市は山を越えて外へ抜ける街道が多いので、絶えず人が動いていて滞らない。常に新しいものが入って代謝するから、ちょうど良く町が変化していくというか。
宮下さん
晴れる日が多いからなのか、気持ちのいい人が多い気もします。
丸山さん
若い頃の僕にはそれが当たり前すぎて、刺激が足りなかったんです。今になってみれば、天災の少なさも天気の良さも、町の魅力だと思えますね。
波田野さん
でも僕が以前いたヴィラデストワイナリーも、塩川さんのいるアトリエ・ド・フロマージュも、創業時は高速道路も新幹線もなかったわけで、やっぱり開拓してきた先輩たちのすごさは感じますよね2世代目の僕らは、それを地域に根付かせる立場なのかなと思っています。
塩川さん
チーズが造りたいからって仕事を辞めて単身フランス行っちゃうような、みんなパワーがありますからね。
丸山さん
気になるから見るけど、でも関わるのは遠慮したい、みたいな空気はあったように思います。
宮下さん
でも様子を見てくれるのって、新しいことに取り組む人間からするとありがたいです。拒まれないから、自分の豊かさを大切に暮らしたいっていう、ちょっとコアな人が多いのかも。
丸山さん
そうか。純粋な思いを突き詰められる環境がここにはあるから、結果として「おいしいものができた」「いいものになった」っていう個が集まっているのかもしれないですね。

丸山智己
動画 インタビュー

俳優 丸山智己と
とうみの『人』